日本先進糖尿病治療・1型糖尿病研究会
Association for the Study of Innovative Diabetes Treatment in Japan・Japanese Study Group of Type 1 Diabetes

 
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    2025.02.15

野中 共平 先生のご訃報に際し

日本先進糖尿病治療・1型糖尿病研究会 野中 共平 先生

野中 共平 先生のご逝去を悼む

令和7年2月15日

 令和7年(2025年)1月12日、野中共平先生(久留米大学名誉教授)がご逝去になりました(享年 91歳)。衷心よりお悔やみを申し上げます。

 野中先生は昭和33年に大阪大学医学部をご卒業になり、義務出張の後昭和34年に第二内科(当時、木谷威男教授主宰)の内分泌代謝部門に大学院生として入学されました。米国デトロイトのMt. Sinai病院研究部へのご留学後、垂井清一郎教授の下で、1型糖尿病(当時のIDDM)における膵グルカゴン分泌異常の分析および強化インスリン療法によるその是正と血糖コントロールの改善について、臨床研究を継続されました。
小職は1976年に大阪大学を卒業後2年間の初期研修を終えて、1978年に第二内科の糖尿病内分泌代謝研究室に入学させて頂き、野中先生から前述のテーマについて研究・診療両面から手に手をとって、ご指導頂きました。ほぼ同時期に入門された花房俊昭先生(昭和50年阪大卒)と山田研太郎先生(昭和52年阪大卒)は、
1型糖尿病の成因(自己免疫性ラ氏島炎)について、同じく野中先生のご指導を受けられました。
今思えば、あの野中グループが『日本先進糖尿病治療研究会』と『1型糖尿病研究会』のルーツであったのだ、と懐かしく思い起こしております。

 おりしも1978年に英国のPickupら、1979年には米国のTamborlaneらが相次いで携帯型インフュージョンポンプを用いた持続皮下インスリン注入療法(CSII)の有効性を発表したところでありましたので、小職は野中先生ご指導の下、N社と共同開発した携帯型インフュージョンポンプ(プロトタイプは5mlディスポ
使用、その後3mlのディスポ注射器用に小型化)を数名の1型患者さんに適用し、その血糖コントロールの有効性と安全性を明らかにして糖尿病学会誌に発表させて頂きました。

 その後全国でCSII実施施設が増えましたので、1996年に野中先生を代表として、虎ノ門病院の小林哲郎先生、札幌の牧田善二先生、柳沢克之先生、新潟の鴨井久司先生、津田晶子先生および小職が一堂に会して、『インスリンポンプ療法研究会(その後先進インスリン療法研究会、さらに日本先進糖尿病治療研究会へと改称)を立ち上げることになりました。写真は、2004年に奈良で開催された研究会会場玄関で、野中先生と1型糖尿病患者K.K.さん(わが国初のCSII長期外来施行例で、当時で26年間継続中でありましたが、すでに故人)との記念写真です。

 野中先生の慧眼により灯された1型糖尿病の成因とその治療を巡る研究は、今後とも『先進糖尿病治療・
1型糖尿病研究会』の会員に受け継がれ、さらに発展していくものと考えられます。

 野中共平先生、長年のご指導有難うございました。どうぞ安らかにお眠りください。

前、先進糖尿病治療研究会、事務局長
難波 光義

追悼 野中共平 先生

 インスリンポンプ療法の萌芽期からその確立に貢献された野中共平先生が、本年1月12日にご逝去されました。卒寿を越えておられたとはいえ、突然の訃報に接し残念な気持ちでいっぱいです。

 私が大阪大学第二内科に入局した1980年は、野中先生が、その2年前に初めてPickupらが報告した持続
皮下インスリン注入(CSII)療法を、不安定型糖尿病の治療にいち早く取り入れられた時期でした。当時のCSIIは電池式インフュージョンポンプと翼状針を用いるシンプルなものでしたが、従来の治療法ではどうしても安定しない患者さんの血糖を落ち着かせるのをみて、感動したのを覚えています。野中先生は基礎インスリンとボーラスインスリンの比率や、ボーラス注入のタイミングなど、CSII療法を行うに当たっての指針を示されましたが、決してその普及を急がれることはなく、CSIIの限界と注意点を明確にされ、24時間対応できる医療体制なしに安易に行うべきではないと説かれました。今日から振り返ると極めて適切なご提言であり、その慎重な姿勢が本邦におけるインスリンポンプ療法の着実な発展に大きく寄与したと思います。

 野中先生は1985年に久留米大学の内分泌代謝内科学講座初代教授として招聘され、2年後には私も久留米大学に赴任することになりました。久留米大学においても野中先生はインスリンポンプ療法の向上に取り組まれ、特に人工膵島を用いた研究により、無自覚性低血糖予防の重要性を提唱されました。CGMとリンクした自動制御インスリンポンプは、野中先生が提示された課題への一つの解答と言えるでしょう。インスリンポンプのさらなる進歩を見ていただき、ご意見を伺うことができればと思わずにはおれません。

 日本先進糖尿病治療研究会は2001年にインスリンポンプ治療研究会として設立されましたが、その源流は1996年に野中先生が代表世話人として立ち上げられたCSII研究会に遡ります。野中先生の本研究会への
ご尽力に心より感謝いたしますとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。

久留米大学名誉教授、朝倉医師会病院顧問
山田 研太郎

ポンプ治療歴26年(2004年当時)の
K.K.さんと野中共平先生

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